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思春期に入った中学生に読んでほしい 森絵都『クラスメイツ』

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中学生って一番厄介な年齢ですよね。

自分が中学生だった頃のことを思い出しても、ああ、そうだよ、厄介だったよ……と遠くを見つめてしまうんですが、長女(中1)が思春期に突入し、最近はなかなかの悲劇のヒロインっぷりを披露しています。

「私、今本当に辛いの」「こんなに辛いのって私だけだと思う」「この辛さ、ママにわかる?」などと「かわいそうな私」アピールをしてきます。

いや、よくよく聞いてみるとたいした話じゃないんですよ?

クラス(女子30名ちょい)の中でいくつかグループができているようなんですが、ずーっと平和なグループっていうのはあまりないらしく、グループ間での移動があったり、グループ同士で悪口を言ったり・言われたりと中学生女子特有のゴタゴタが少しあるようなんですよね。(でも長女はわりと平和なグループにいる)

40歳のおばちゃんである私からすると、「あーよくある!」「それ私のときもあった!」「中学生ってそういうもんだよ!」って感じなんですが、長女にとっては色々と気の重いこともあるようで。

「どうして最近、暗い気持ちになったりイライラしたりするのかなぁ」と長女が言うので「思春期になると女性ホルモンの働きで身体が大きく変わってくるから、それに気持ちがついていけなくなって不安定になるんだよ。中3になれば落ち着くよ」と言ったら、「あと2年もかかるの!?」とげんなりしてました。ハハハ。

「自分が一番辛いって思うのも思春期の特徴。LINEにそういうこと書きこんでる友達いない?」と長女に聞いたら、「いる!!」と。

ちょこっと見せてくれたんですが、小学生時代の同級生(男子)がクラスのグループLINEに「おれ、本当に今辛いんだ……。あいつらとのこと、もう何でもないってフリしてるけど、ふとしたときに思い出して落ち込むことがある。この気持ちわかってくれるやついるかな?」ってなことを書き込んでいました。

ポエム……!!

13歳~15歳くらいの時期って「自分のことをわかってほしい」という気持ちがすごく強いような気がします。子どもでもなければ、大人でもない微妙な年齢で、精神的な危うさもありますよね。

で、長女に「こういう気持ちのときはどうしたらいいの?」と聞かれたので「そういうときは、本をたくさん読むといいよ」とアドバイスしました。

本はねー、こういう精神的にグラグラしてるときに、すごく効き目があると思います(あくまでも個人的な意見ですが)。



悲しみは誰でも持っている

随分前のことになりますが、皇后陛下の美智子さまがIBBY(国際児童図書評議会)第26回世界大会基調講演で、読書についてこんなことをおっしゃっていました。

読書は私に、悲しみや喜びにつき、思いめぐらす機会を与えてくれました。本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした。

読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても。

この講演の中で、美智子さまが幼少期に読んで心に残った本として取り上げているのが新美南吉の『でんでんむしのかなしみ』です。

ある日、でんでんむしが「自分の殻の中には悲しみがいっぱいつまっている」と気づくことから、このお話は始まります。そして、友達のところを順々に訪ねていって「私は何という不幸せ者だろう。背中の殻には悲しみがいっぱいつまっている」と訴えます。でも、どの友達も「あなただけではない。私の背中にも悲しみはいっぱいつまっている」と言うのです。

とうとう はじめの でんでんむしは きが つきました。
「かなしみは だれでも もって いるのだ。わたしばかりでは ないのだ。
わたしは わたしの かなしみを こらえて いかなきゃ ならない」

そうなんだよ、そうなんだよ。辛いのは、自分だけじゃないんだよ。

この視点、とっても大事だなぁと思うのです。中学生のときって学校で何かあると、それが世界のすべてのような気がしちゃうんですよね。自分だけがこんなに苦しんでいるんだ、みたいな。本当は、全然そんなことないんですけど。

でも、本人にとっては本気で色々と辛かったりするので、それを一歩引いて客観的に見てみるっていう視点がすごく大事になるんじゃないかと。

思春期に入った中学生におすすめ! 森絵都『クラスメイツ』

この「悲しみは誰でも持っている」ということに気づかせてくれる本が、森絵都の『クラスメイツ』(全2巻)です。

『クラスメイツ』は、24人のクラスメイト、それぞれを主人公にした連作短編集。同じ出来事でも、あるクラスメイトから見えていることと、別のクラスメイトから見えていることは違っていて、感じ方も捉え方も人それぞれ。「あのとき、あの子はあんなふうに思っていたんだ」ということがわかるので、そこがすごくいいなぁと。

初めて出会うクラスメイトたち、友達ができるまでのドキドキ感、女子3人組グループの苦悩、淡い初恋、登校拒否……中学生であれば一度は体験するであろう出来事がたくさん出てきて、中1の長女は「こういう気持ち超わかる!!」と言いながら読んでいました。

私なんて、最初の「千鶴」の章「鈍行列車はゆく」で、もう泣いちゃいましたよ。

千鶴は、中学生になったら「新しいわたし」「今までとはちがう自分」に変わりたいという一心から、運動があまり得意ではないのに「体育会系の部活」に入ろうと考えます。

でも、友達のしほりんに頼まれて見学に行った吹奏楽部で心動かされ、吹奏楽部に入ってみたいという気持ちが生まれます。「文科系の部活を選んだら、いままでの自分といっしょになってしまう」と迷っていると、しほりんからこんなことを言われるのです。

「わざと自分らしくないことをするより、千鶴は千鶴らしいことをして、いままでの千鶴以上にそれをがんばって、そのさきに、いままでとちがう千鶴がいるんじゃないのかな」

いい!!!! すごくいい!!!!

無理に自分を変えようと努力するのではなくて、今の自分を認めて、今の自分でできることを精一杯やって、その先に違う自分がいる。人生っていうのはそういうことの積み重ねなんだよ、とぐっときたのでした。

森絵都が描く中学生群像「クラスメイツ」著者インタビュー公開!にも、とってもステキな言葉が。

24人を書いてみてしみじみ思ったのは、人はどのような性格であれ、その人物でしかいられないということです。「この子はこの子としてしか生きられない」と、どの子を書いていても思いました。たとえ田町のような脆さを持っている子でも、その脆さと折り合いをつけながら一歩一歩進んでいくその先に、彼女にとっての充実した人生があるのだろうと。

生きているとつい、「あの子みたいにああだったら」と自分と他人を比較して落ち込んでしまうこともありますが、自分のいいところもダメなところも受け入れて、折り合いをつけながら生きていくってことが大切なんだよなぁとあらためて思ったのでした。

長女も「アトピーがなかったら」とか「アレルギーがなかったら」などと言うことがありますが、この本を読んで何か感じ取ってくれることがあったらいいなと思います。

中学生女子にぴったり! 銀色夏生『あの空は夏の中』

私が中学生の頃、銀色夏生の詩集がクラスの女子の間でめちゃくちゃ流行っていました。学校に詩集を持ってきては「この詩いいよね!」「わかる~!」なんて言い合っていたんですが、これって「自分の気持ちが書かれている」と共感できることが大きかったのかなと思います。

当時、一番人気があったのが『あの空は夏の中』 (角川文庫)です。

少しだけ抜粋を。

理由(わけ)もなく悲しいとか、理由(わけ)もなく楽しいとかいう言葉を
私はよく使ったけど
本当はいつもちゃんと理由があった

夏の宿題にたくさんの本を読んだ
どの人が言ってることもウソじゃないと思うけど
どの人が言ってることも本当じゃない
私はすこしつかれた気持ちになって
夕立ちの窓を開ける
私が知りたいことは
もっとかんたんなこと
私が知りたいことは
もっと大切なこと
なにか もっと ちがうこと

他の人といる時も
笑っていても
映画を見ても
心はいつも
あなたのことばかりだった

ああああ。これぞ、青春!

詩は受けとめる側によって色々な解釈ができるのがいいですよね。なので、長女にもめいっぱいおすすめしたのですが(我が家には私が中学生時代に読んだ銀色夏生の詩集がいっぱいある)、「ムリ。詩に興味ないから」と冷たく却下されました。くそう。

中学生には中学生なりに色々と悩みもあるかと思いますが、いつか懐かしく思い出す日が来るから、そのときまでは何とかがんばってほしいなぁと銀色夏生の詩集を久々に読み返してみて思うのでした。

春の野原 満天の星の下 (角川文庫)より抜粋。

すこし前の、
後悔ばかり
していた自分を超えよう。
何かが正しく
何かがまちがっていたなんて。
どちらかが正しく
もう片方がまちがっていたなんて。

事実があって、感情があるだけだ。
その感情をささえるのが今ならば、
何かを忘れ去るのでなく、
何が私にくっついても、
許せるような強い自分に
今はなりたい。

ということで、中学生におすすめしたい本のご紹介でした。

ちなみに、中学生のLINE使用については賛否両論あり(学校の先生も、LINEでの揉めごとが増えたと言っていました)、ママ友の中には「高校生まではスマホは持たせない」という人もいます。

でも、私は全面的に禁止するよりも、使っていく中で自分なりの判断を身につけてほしいと思っているので、「夜9時まで」「リビングで使う」「友達が見て、イヤな気持ちになることは絶対に書きこまない」などのルールを決めて渡しています。私立中学で通学に電車を使うからかもしれませんが、クラスのほとんどの子がスマホを持っているそう……(^-^;

私が中学生のときは、学校が終われば電話をしない限り友達とは連絡がとれませんでしたが(何か話したいことがあるときは手紙を書いた入り)、今の子は夜でもLINEで友達と簡単に連絡をとることができ、便利な反面、それはそれで色々と大変だなぁと思うことも。

人とつながるのももちろんいいんですが、自分の時間も大切にしてほしいですよね。特に思春期は、自分の内面を見つめる作業がすごく大切になると思うので……。

ではでは、また次回お会いしましょう~♪

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